NOTE.14

rave20092009-10-19

アルバムのミックスが終了し、4人で立ち合いの確認をして来ました。

『あゆみ』は僕たちにとって本当の意味でのファーストアルバムになると思います。

2000年にはじめて自主制作の音源を発表してからいろいろと試行錯誤を重ね、その都度『これからどうしていこう』と途方に暮れたり頭を抱えたり 中々ギュッとまとまらないバンドの表現に味のないガムを噛み続けて来ましたが
ここにきてようやくあるポイントを飛び越えることが出来たという手応えを感じています。
ずっと出来なかった逆上がりがやっと出来た、あの夕暮れを想い出します。

RAVEを知ってもらうためにまず聴いて欲しい作品がこの『あゆみ』になるでしょう。

ああもうやっと出来たファーストアルバム。

自己推薦というよりかは何故か不思議と自分ではない誰かが歌っている作品を評価しているような気持ちになります。

変だ そんなの変だ、
『あゆみ』を歌ったあいつは一体全体誰なんだろう
確かに自分自身であるその声がまるで予想もしなかった場所からやってきて昨日のおれを撫で回す

不思議ですがまあとにかくおかしな話ですが
良い意味で何の固定概念もなくこれから出逢う人たちにこのアルバムをまっすぐ伝えることができそう。

6曲入りとサイズはミニアルバムですがこれはRAVEの三枚目のフルアルバムです。
はじまりから終わりまで物語が続くのでひとつのお話になってます。
おれと徳ちゃんと品治とタツヤのストーリーはひとまずここでピリオドだけど、十分孫の代まで語り継げる自信があります。


いよいよ後二ヶ月に迫った発売、それまでにまだまだたくさんのイベント。
来週はピーターさんのマスタリング
翌月頭に写真撮影
ジャケットを叩き上げて入稿
配信かましてレコードショップにも歌いに行って

でもそれより何よりここを観てくれているあなたに

やっぱり一番はやく聴いて欲しい

RAVEの新しいアルバムを

一応ぼくはこの小さな会社の社長だから

当社立ち上げ以来 ずっと追い求めてきました
なんかうまく言葉には出来ない星屑ベシタブルセットを

わたくしめが心からお届けに参りたいと思います

やっと出来たでございます!

これがRAVEだーーー!!!

NOTE.13

rave20092009-09-21

コーラス録音といくつかのパーカッションを録音し、全てのレコーディング行程が終了しました。

ここから録り揃えた木材や塗料、はたまたネジやナットや釘やワッシャーまでを組み立ててひとつの家具をつくっていくように 音を発展させ命を吹き込んでいく。
いわゆるこれがミックスと呼ばれるトンカチです。

『あゆみ』に収録される曲のほとんどを前作からのプロデューサー・ツネヨシリュウジ(colorfilter)さんと一からつくり込み、
今作からチームを組んだサウンドコーディネーター、ピーター・ギブソン氏と共に歩んできたこのレコーディング。

ミックスから最終行程のマスタリングまでをピーターさんに委ねます。

数々の良作を世に産み出してきたピーターさんの手腕で、RAVEの新しいサウンドは いったいどのような仕上がりを聴かせるのでしょうか。


今思い起こせば、はじめてのレコーディングは右も左も分からず、ただ戸惑ってばかりでした。
生まれてはじめて目にする"握らないマイク"の前に立ち、震えを押し殺しながらの か細い歌でスタートしたレコーディング初体験。
あれから9年。
実際の技術、録音の環境。あらゆる面で変化してきたけれど、今回唯一あの頃とまったく同じ感覚が心にあります。
それは、「分けも分からず楽しい」という気持ち。

"全ての演奏には理由と意味がある"というピーターさんの確固たる思想のもと、
録音する音すべてに説明を持たせて完成を目指した今作、

どうやら説明の利くものをしっかりとした精度で並べて行けば、出来上がるものは説明の利かない 理由のいらないものになるらしい。

音楽の不思議を、
今わけなき不思議的ワクワクと共に
噛み締めているところです。


『あゆみ』プロジェクトはこれからジャケット制作&写真撮影へ。

そしていよいよ来週からはワンマンリハーサルがスタートです。

NOTE.11

キーボード録音。

ぼくらより年齢がひとつ下の23歳、谷本健治。

彼との出逢いは昨年の冬に遡ります。
一緒に音楽をやれる鍵盤奏者をぼくはずっと探していました。

出身である専門学校の知り合いの方に密かな打診。

「もし"イイヤツ"いたら教えてください」

そして数日後、連絡が来て同封されていたプロフィールに彼の生写真が。

なぜか少しなめ回すように撮影された謎のそのプロマイドに写りこんだ爽やかな少年の笑顔にぼくは只ならぬシックスセンスを感じ、すぐにアポを取って彼に会うことに。

思ったより人見知りだった谷本君。
RAVEのアルバムを渡し、軽くその日は話をしただけ。
でもその夜すぐに返事をくれた。

「やらせてください」

彼はメインでキーボードを弾いているバンドがある。
その中で彼はなぜか"パスタ"というミドルネームで呼ばれているらしい。

「藤田さん、今回のアルバムのクレジット、ぼく名前表記どうしたらいいか悩んでます」

そこかい!



今年に入ってから何度となくステージやリハーサルを共にしてきた健治のプレイはもうすっかり"なくてはならないもの"になっていた。
今日のレコーディングでそれを改めて実感。

彼とつくったはじめての作品。

ぼくにとっても健治にとっても、「こいつと一緒にやれて良かった」

そう心から思えるような、ある種のランドマークになればいい。




NOTE.10

高い確率で雨という天気予報でしたが、辛抱強い秋の曇り空が涙をぐっとこらえている姿がとても印象的な一日。

ベースレコーディング。

ベース=基礎

すべての基礎と成り得るこの楽器はバンドという集合体において無くてはならない存在です。

シナジくんは毎度のことながら大きな体をくねらせてダイナミックに録音を進めていきます。

ほぼすべての楽曲をワンテイクで録り終え、シンプルに迷いのないプレイがこのアルバムのテーマをしっかりと形どってくれたような、そんな今日の「成果」でした。


いよいよベーシックの楽器が出揃い、輪郭の出来上がりです。

『あゆみ』という散らばったパレットの上をどう泳ぎ、どうかき混ぜ、最終的にどのような絵を描いていくのか。


みんなが取り揃えてくれた絵の具と画用紙を手にして


来週のボーカルレコーディングにイメージを馳せています。