NOTE.11

キーボード録音。

ぼくらより年齢がひとつ下の23歳、谷本健治。

彼との出逢いは昨年の冬に遡ります。
一緒に音楽をやれる鍵盤奏者をぼくはずっと探していました。

出身である専門学校の知り合いの方に密かな打診。

「もし"イイヤツ"いたら教えてください」

そして数日後、連絡が来て同封されていたプロフィールに彼の生写真が。

なぜか少しなめ回すように撮影された謎のそのプロマイドに写りこんだ爽やかな少年の笑顔にぼくは只ならぬシックスセンスを感じ、すぐにアポを取って彼に会うことに。

思ったより人見知りだった谷本君。
RAVEのアルバムを渡し、軽くその日は話をしただけ。
でもその夜すぐに返事をくれた。

「やらせてください」

彼はメインでキーボードを弾いているバンドがある。
その中で彼はなぜか"パスタ"というミドルネームで呼ばれているらしい。

「藤田さん、今回のアルバムのクレジット、ぼく名前表記どうしたらいいか悩んでます」

そこかい!



今年に入ってから何度となくステージやリハーサルを共にしてきた健治のプレイはもうすっかり"なくてはならないもの"になっていた。
今日のレコーディングでそれを改めて実感。

彼とつくったはじめての作品。

ぼくにとっても健治にとっても、「こいつと一緒にやれて良かった」

そう心から思えるような、ある種のランドマークになればいい。